社会福祉法人
武蔵野療園
武蔵野療園病院
令和5年11月9日
薬との上手なつきあい方
in 白鷺高齢者会館
服用薬から最大の効果を得るためには、患者さん自身も薬についてできるだけ正しい知識を
持って服用していることが重要です。
そこで今回は「薬との上手なつきあい方」と題して薬のお話をして来ました。
--信じないものは救われない?--
薬にはプラセボ効果といって、薬効のない物質によって得られる効果がありあす。
飲む人の心理状態が大きく影響し、この薬は効くと思って服用すれば効く、
効果の30%はプラセボ効果とされています。
逆に信用できない、効かないと思えばマイナスのプラセボ効果を生むのです。
薬の害に関する話題が相変わらずマスコミをにぎわしていますが、
薬の批判をすると雑誌の売り上げが伸びるとのこと。
情報に振り回されないようにしましょう。
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--後発品(ジェネリック)問題--
先発医薬品よりも開発コストを抑えられ、安い値段で販売できるため、
増大する医療費削減の目的で後発品使用が推奨されています。
後発品使用加算をつけるなどの施策の結果、
H19年に34.9%であった後発医薬品率は、R4年には79.94%に達しています。
患者さんにとっては薬代の負担が減るというメリットがあります。
基本的に安全性の問題はないと考えられますが、
効果は、製法・添加剤が同じではないので
すべての後発品が先発と同等とは言い切れません。
オーソライズド・ジェネリック(AG)といって原薬、添加物および製法等が
先発品と同一の後発品もあります。
患者さんは先発品やAGを希望することができます。
数年前、ある後発品メーカーが業務停止となったことをきっかけに
後発品の供給不足が生じ大きな問題となっています。
薬は簡単に代替えができないので現場は困窮しています。
厚生労働省も対策を講じていますが、
供給不足が解消されるまでに数年を要する見込みです。
--ポリファーマシー(必要以上の多種の薬剤)--
薬が6剤を超えると副作用の頻度が高くなるといわれています。
ポリファーマシーに陥る理由として以下の3つが挙げられます。
・多受診:複数の診療科、 医療機関を受診し投薬されている。
・処方カスケード: 薬の副作用を新たな疾患としてさらに薬を処方されてしまう。
・患者の要望: 薬をたくさんほしいという患者の要望に応じて薬が処方されてしまう。
--薬は必要最低限に! 減薬していく--
高齢者は、次のような特徴を理解して、薬の投与が適正かを考え直す必要があります。
・加齢に伴う変化、特に腎機能の低下に伴い薬が効き過ぎてしまうことがある。
・食事量の減少によって脂質異常や高血圧、糖尿病の治療薬がいつの間にか
不要になっていることがある。
・高齢者の医療は、原因を追究して根治することではなく対症的に
うまくコントロールしていくことを目的とし、
処方薬がその目的に合致しているか考え直すべき。
以上のことに注意して医療機関で少しずつ薬を減らしていきます。
自己判断で薬を中止することは危険です。
信頼できるかかりつけ医を持ち、新しい症状が出たらまず副作用を疑って相談してください。
前回と同じ処方を体調のチェックなしでずっと続けていくのは危険です。
血圧、血糖値を確認し、数か月に1回程度は血液検査を受けましょう。
できればかかりつけ薬剤師を持ち、副作用や残薬の相談をして下さい。
多くの疾患は生活習慣病です。生活習慣の改善で減らすことができる薬剤があります。
限りある医療資源を有効に活用するためにも減薬し、大量残薬も解消したいものです。
講座の前後、いくつか質問をいただきました。
服用している薬に関する相談が主でしたが、
「かかりつけ医はともかくとして、かかりつけ薬剤師はどのように持てばいいですか?」
という質問がありました。
国の定めた要件を満たす「かかりつけ薬剤師」がどこの薬局にいるのか
インターネットなどで探して下さい。
「健康サポート薬局」には必ずいます。
同意書に署名して、かかりつけ薬剤師から様々なサポートを受けることが可能です。
「かかりつけ薬剤師指導料」という負担が発生します。
「かかりつけ薬剤師」でなくても、いつも行く薬局の薬剤師になんでも相談してください。
誠意をもって答えてくれるはずです。